ブックオフについて

衝撃的な事実だが、敢えて名前を隠すほどのことでもないだろう。
先日、表題のお店に行ってきた。いや、どちらかというと馳せ参じた
店員はわたしのそのあまりに堂々とした態度に侃侃諤諤としていた。
ふう、ここもか…と阿鼻叫喚の地獄絵図を眺めていると、意を決した店員が「買取ですか?」と平静を装い、声は震えていたが、言った。
ああ、とだけ答える。わたしは自分の持ってきた辞書類を並べた。ここでひとつアドバイス、辞書類の買取は2月3月が一番高い。売るならこの時期を逃してはならない。理由は自ずとわかるだろう。
店員は「店内を荒らさないで待っていてください」と言った。そこで渋々店内を歩き回った。そこにはおぞましい光景が広がっていた。
雪の中、わざわざ古本屋にまで来て漫画を立ち読む中年の漢、しかし、その姿はむしろ潔く、心地良いくらいだった。
そして、ボーイズラブのコーナーに群がる娘、その姿も何故か心強かった。


いよいよ店内に怒号が響き渡る。
「え〜、ここでブックオフ名物買取応援大音声じゃーい!!!」と聞こえた気がする。さらに、「7の数字を携えるもの…不吉じゃ、直ちにカウンターまで来るがよい。」と聞こえた気がしたので、素直に本を蹴散らしながら向かった。
店員に不敵な笑みが広がる…おかしい、さっきの下衆ではない…?「…円です」…ん?耳を疑った。もう一度「50円です」
確かに彼奴は言った。ま、まさか!安すぎる…そんなわけはないだろう!!!そして、「3冊は買い取れませんでした。一昨日着やがれ!」と言ったような気がした…。
馬鹿野郎!こっちから願い下げだとその場を後にしたが、自分でも手の震えに気づかないわけにはいかなかった…。


次の日、とある漢の経営する別の店に行った。ところが、そこはすっかり荒廃してしまっていた。店内には閉店セール半額の紙が所狭しと張られ、本を探すことも間々ならなかった。
おう店主か。そういうと店主は重い頭を面倒そうに上げ言った。
「…ああ、君か?ここはこの通りもう駄目さ。荒れ放題だし、すっかりニート(あだ名、生涯を立ち読みに捧げる。1964〜)たちの溜り場になってしまったんだ。そうだ常連のKは死んだよ(寿命で)。凄い生き様だった…あいつは最後まで闘ったんだけどね…」そういうと店主は言葉を濁した。
わたしは怒った。わたしはKなど知らなかった。しかし、そんなことはどうでもいい。
わたしは言った。この辞書を買い取ってくれ!この声も虚しく虚空に響くだけで、店主には届かなかった。
「無理だね。量販店、そうだなブックオフへ行きな。この時期はたくさん売れるからね。買い取りも高いはずだ」
わたしは落胆を隠せなかった。もうKが死んだことなどどうでも良かった。そして実際どうでも良かった。しかし、さらに店主は続けた。
「そうだな、ブックオフの○○店と、あとは○×店なら、あるいはまだまともかも知らん。後はもう駄目だが、行ってみると良い」
えっ!?店によって買取違うの?思わず素に戻る。


そんなわけで、行って参りましたよ。付いた値段が、7冊で520円。かなり古いものだったので(8年前のものが中心)安いと思うかもしれないけど、結構満足する値段だったのでおけ。そして1冊は買い取ってもらえなかった。
そんなわけで皆も気をつけよう。そして、ぼったくりの店を少しでも減らそう!おー!…ブックオフ名物買取応援大音声ー!
どこかから聞こえた気がした…